近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)> 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明。(文末に参考文献ナンバー)

福岡県田川郡福智町(旧方城町)編

崎山組事務所(三菱方城炭礦本事務所)
福智町伊方 明治37年(1904)頃
煉瓦造/平屋建 ドイツ人技師?/不詳
/05.1/民間/事務施設(同左)
 煉瓦造建築で軒周りに装飾性が見られます。玄関車寄部分に三菱の社章とともにハーフティンバーを模した模様が施されており、そこだけで建物の印象を良いものにさせていました。
 向かい合った日立マクセルの工場群には方城炭礦の施設群が多く遺っているため、こちらの存在はあまりクローズアップされていません。しかし建物単体としての美術的価値はこちらの方が勝っているのでは、と感じてなりません。炭鉱事務所建築が次々となくなっていく中、この建物の存在感は非常に貴重でしたが、道路拡幅事業の伸展とともに解体。残念です。(4.)

旧三菱方城炭礦米倉(同左)
福智町伊方 明治37年(1904)頃
煉瓦造/平屋建 不詳/不詳
/05.1/民間/倉庫?(同左)
 原典資料には米蔵という記述がありましたが、近代化遺産報告書には、ただ土蔵という記載にとどめられています。壁面に付けられた痕跡を見ると、炭鉱の拡張に応じて周辺はたびたび増築されていたのでしょう。現在では少し空き地が広くとられ、そこに何かがあったのだという痕跡をとどめています。
 旧事務所の裏手にはこのような土蔵の他に煉瓦造りの壁が長く延びており、ここに確かに長大な施設群があったのだと言うことを今に伝えています。(4.九大石炭研資料.)

九州日立マクセル赤煉瓦記念館(三菱方城炭礦坑務工作室)
福智町伊方 明治37年(1904)
煉瓦造/2階建(一部3階建) ドイツ人技師?/不詳
国登録有形文化財/01.9/九州日立マクセル/静態保存(工業施設)
 方城炭礦の痕跡を示す施設の中ではもっとも大きな建物です。 訪れた時期が夏と言うこともありますが、煉瓦構造の全面が蔦に覆われているため、写真に残る姿はこのようなもので何とも、申し訳ありません。
 竣工当初は扇風機室として用いられていたそうです。現在は改装が行われ、一階は企業製品展示室、2階は喫茶室として用いられているようです。工場内にあるため、見学には許可が必要です。ご注意あれ。(4.現地案内板.)

九州日立マクセル倉庫(三菱方城炭礦機械工作室)
福智町伊方 明治37年(1904)頃
煉瓦造/平屋建 ドイツ人技師?/不詳
/01.9/九州日立マクセル/工業施設(同左)
 玄関部分上部が何か白いもので覆われていますが、あそこには日立の社章が掲げられています。恐らく、もともとは三菱の社章が描かれていたようですが、日立グループの所有であるため、そのままに留め置くのは問題があったのでしょうか。現在は写真のような状態となっています。
 建物の配置としては、工場でもっとも奥の部分にあり、それほど目立たない建物です。それでもさすがの明治建築。近づけば存在感を示してくれます。(4.)

九州日立マクセル2階建施設(三菱方城炭礦圧気室?)
福智町伊方 明治37年(1904)頃
煉瓦造/2階建 ドイツ人技師?/不詳
/01.9/九州日立マクセル/工業施設(同左)
 方城炭礦の施設の中では比較的大きな規模のものです。文化財登録されている赤煉瓦記念館が現敷地の端部分にあることと比較すると、こちらはかなり中央に寄っている建物で、そうであるが故に、今後の動向が少し心配な建物だとも言えます。
 建物を傍目から見る限り、外壁からかなりの補修が施されていることが感じ取れます。本来ならば即刻取り壊し、と言う話になるのでしょうが、これだけ煉瓦の建物が多いと、工場の方々にも愛着が沸いておられるようです。新しく造られた建物にも、赤煉瓦の意匠が用いられ、九州日立マクセルのシンボルとなっています。(4.) 

九州日立マクセル施設(三菱方城炭礦選炭場)
福智町伊方 明治37年(1904)頃
煉瓦造/平屋建 ドイツ人技師?/不詳
/01.9/九州日立マクセル/工業施設(同左)
 九州日立マクセルの工場敷地は、山側に煉瓦造りの建造物を保存し、ふもと側には新しく作られた工場を置いているため、歴史的な部分とそうでないものはほぼ分けられている格好となっています。このようになっていると、うまく常時見学できるようにはならないものかと考えてしまうのですが、今のところ地元ではそういった動きはない模様です。
 筑豊地域で一体的な炭鉱施設群が遺っているのはここだけです。いち企業のみならず、筑豊全体で保護活用すべき貴重な文化財だと断言できます。(4.) 


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