近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>沈黙の碑 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明をくどくどと。(文末に参考文献ナンバー)

長崎県長崎市(外海町地区)編

出津教会堂(同左)
長崎市西出津町 明治15年(1882)
煉瓦造/平屋建 ド・ロ神父/ド・ロ神父
県指定有形文化財/06.2/宗教法人/宗教施設(同左)
 映画「解夏」でも舞台として使用された清楚な教会。長崎にある他のものと比べると、極端に丈が低く、屋根瓦が漆喰によってかなり補強されています。これは外海地区が毎年台風によってかなりの被害を受けており、階高のある建物を建てられなかったからという地域特有の事情によるものです。
 教会自体はド・ロ神父の私財によって建てられたとのこと。そこまでさせた人々の信仰心の熱さにびっくりするとともに、フランス神父の心のすがすがしさにも感慨深くなります。(28.)

旧出津救助院(同左)
長崎市西出津町 明治16年(1883)
木造/2階建 不詳/不詳
国指定重要文化財/08.3/長崎市/静態保存(工場施設)
 孤児院及びそうめん工場群。ド・ロ神父はここで働く病気がちなシスターのため、2階部分に赤土を敷き、風土病の蔓延を予防したと言われています。土を踏むと病気になりにくいとの伝承によるものです。
 この外海地区は遠藤周作の小説「沈黙」の舞台となったところで、遠藤周作記念館など関連施設も数多くありますが、「沈黙」は外海の江戸禁教初期キリシタン事情が舞台になっているだけで、ド・ロ神父の物語ではありません。筆者はものの見事に勘違いしましたので、皆さんもご注意あれ。(28.)

旧出津鰯網工場(同左)
長崎市西出津町 明治18年(1885)
木造/平屋建 不詳/不詳
国指定重要文化財/06.2/長崎市/静態保存(工場施設)
 明治期の民間による殖産事業は大手資本によって、あるいは地元資産家によって結果的に行われている例はいくつかありますが、純粋な、しかも無報酬のものはここくらいではないでしょうか。成功していることにもかなりびっくりです。
 国指定の重要文化財となったため、近年大規模な修復作業が行われ、復元施設と言われても分からないような外観となっています。端々の煉瓦基礎構造を見ると、かろうじて昔からの施設であることが分かります。(28.)

大野教会(同左)
長崎市下大野町 明治26年(1893)
練石積み造/平屋建 ド・ロ神父/ド・ロ神父
国指定重要文化財/08.3/宗教法人/宗教施設(同左)
 同じ外海町にある教会の中でも黒崎教会や出津教会のように象徴的な位置にあるわけでなく、どちらかというと山間にひっそりと遺されている教会です。扉は引き戸、軒の低い屋根、そしてド・ロ壁といわれる特有の壁工法が用いられた、実に見所の多い作品です。そのせいもあって先年国指定の重要文化財となりました。地域特性と西洋技術とが融合した、記念碑的な教会であり、将来の国宝候補とも言えます。
 普段は一般公開されておらず、施錠されているとのこと。内部を見たいという方はご注意下さい。(28.)

旧マカロニ製作所(同左)
長崎市西出津町 明治中期
煉瓦造/平屋建 不詳/不詳
国指定重要文化財/06.2/長崎市/静態保存(工場施設)
 長崎居留地にする外国人達が、マカロニが無く食事に不満を持っていることに目をつけたド・ロ神父が、外海にたてた殖産施設。狙いは見事に的中し、長崎居留地でマカロニは飛ぶように売れたそうです。ただ、地元住民はどうしても気味悪がってそれを食べようとはしなかったられなかったとのオチもエピソードとして残されています。
 写真建物の左側にある壁は「ド・ロ壁」と言われる地域特有の工法によるもので、赤土・石灰・砂・雲母岩を糊を使わずに混合し作られたものです。これもド・ロ神父のもたらした技術だとのこと。(28.)

黒崎教会(同左)
長崎市上黒崎町 大正9年(1920)
煉瓦造/平屋建 不詳/川原忠藏
/08.3/宗教法人/宗教施設(同左)
 小説「沈黙」の舞台ともなったカトリック教会。現在の建物は大正時代になって作られたもので、基礎工事にはド・ロ神父も関わったとの話があります。空の青さに煉瓦の赤、さらには海の青さまでが独り占めできる風光明媚なところで、私が再訪したときはちょうど夕暮れ時に近くなっていたため、きらめく波の色がひときわ映えて見えました。
 長崎に現存する煉瓦造教会堂の中では、最後期に位置づけられるもので、大きく張り出した軒と切り妻部分のうだつ的意匠が特徴的です。是非一度訪れてみてください。(28.)

出津教会信徒会館(同左)
長崎市西出津町 昭和期?
木造/平屋建 不詳/不詳
/06.2/民間/宗教施設(同左)
 白さが目立つ出津教会の丘から少しくだった傾斜地に上手く建てられている建物。純然たる和風とは言い難い腰壁の意匠はキリスト教関連施設ならではのものかと勝手に考えています。修繕は受けているものの、全体のメリハリの効いたスタイルは保たれており、建物を大切にする人々の姿勢を感じさせます。
 地域の他の施設がなまじ脚光をあてられているばかりに、こういった建物は情報が少ないのがどこにでもありがちな現状です。当コーナーで常時付帯情報を募集します。


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