近代化産業遺産 総合リスト


 
建物紹介例
<写真がここに入ります。(下は例)>飫肥城 現在の建物名称(昔の建物名称)
住所(移設の場合、旧所在地) 建築年代
構造/階層 設計者/施工者
文化財指定・顕彰(ある場合)/撮影日/所有状況/
使用状況(建造当時の用途)
建物説明。(文末に参考文献ナンバー)

宮崎県日南市(油津地区)編

京屋酒造(同左)
日南市油津二丁目3−2 江戸時代後期か
木造/平屋建 不詳/不詳
/05.11/民間/醸造施設(同左)
 広く採られた連子窓が印象的な醸造施設。こちらで作られた芋焼酎「甕雫」は愛好者の中でかなり知られたものとなっていますが、建物もしっかりとした造りです。
 昔NHKで朝の連続ドラマの舞台となった施設のようで、焼酎以上に知られた外観となっているようです。結構昔見た物件ですので、手前側の防火壁は煉瓦造りではないか、とか今見てみると気になるところはいくつかあります。そろそろ再訪しなければならないところでしょうね、、、。

鈴木旅館(同左)
日南市油津一丁目2−7 明治中期
木造/2階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/05.11/民間/倉庫(同左)
 最初この地区を紹介する際には、若干気になった建物ではあったものの、昭和初期か、あるいは戦後復興期の建物だろうと掲載を見送っておりましたところ、なんと明治期の建物であったとは、、、自分の目がまだまだ甘かったと言うべきでしょう。今ならばちゃんと見定めていたか否か。
 一階部分よりも二階の階高が高くなっておりますが、これはおそらく2階部分に宴会用の大広間が作られているからと考えられます。中庭を設け、かなりゆったりとした造りであるようです。これは一度泊まらなければなりますまい。

堀川橋(同左)
日南市油津一丁目 明治36年(1903)
石造アーチ橋 石井分吉(石工)
国登録有形文化財/05.11/日南市/道路橋(同左)
 油津港の機能を補完する目的で造られた人工の堀割に架けられている橋。それを表すポイントはアーチ最上部の上につけられた扁額です。この位置に何か書いていても、橋を渡る人には当然見ることは出来ず、この橋が下をくぐる人にも配慮していたことの表れと考えられます。
 せっかくの堀割も現在はそれほど使用されておらず、どちらかというと観光目的としての景観向上に寄与しているようです。近くには橋がよく見える資料館もあります。(12.38.) 

杉村家倉庫(同左)
日南市油津一丁目 大正9年(1920)
煉瓦造/3階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/05.11/民間/倉庫(同左)
 向かい側の煉瓦倉庫と同じく、階高の高さが魅力的です。ポイントは石張が施された3階部分。道を通り過ぎることはさすがにこんなところまで見ることはあるません。恐らく、施工者の隠されたオシャレとして造ったものではないでしょうか。横を通る道幅は狭く、向かい合う旧河野家倉庫との対比は実に絵になります。
 油津の町の魅力は、日本の町にしては珍しく道幅が狭いことにあります。ヒューマンスケールにあった街並みは寒々しさを感じさせることなく、逆に家々の雰囲気を感じさせ生活感を歩きながら知ることが出来ます。こういった街並みは将来の日本が得るべき精神面のぬくもりを持った姿ではないかと思います。かつての日本では、油津のようなまちなみがそこかしこにあったのです。(38.)

油津赤レンガ館(旧河野家倉庫)
日南市油津一丁目 大正11年(1922)
煉瓦造/2階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/05.11/日南市/倉庫(同左)
 裏手の煉瓦倉庫。表通りにないため全容を把握しづらいですが、かなり大きく階高のある倉庫です。ここの建物が愛される理由は、作品単体の魅力と言うよりも、向側にある杉村家の倉庫・商店とのコントラストにあると思いました。
 私が訪れたときは、中にごちゃごちゃした小物が散乱し、中にはいるような雰囲気になかった建物ですが、先日テレビで紹介されたときは綺麗に掃除されていました。まあ、独身者の部屋でも同じようなことはままありますよね(笑)。(38.) 

旧外山医院(同左)
日南市油津一丁目 昭和4年(1929)
木造/2階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/05.11/民間/住居(医療機関)
 油津はこぢんまりとした街並みを形成しており、その中に倉庫や商店、生活施設群が建ち並んでいます。この作品も生活に密着した病院建築です。残念ながら外壁は後年の改修を受けているようですが、概ね全体的なプロポーションを保っているようです。
 軒部分には僅かに竣工時の雰囲気を留める排気口がありますが、それ以外は装飾的なものは遺っていません。玄関部分を見ると竣工時がどのようなものかさっぱり掴めず、複雑な心境です。しかし建物が使用され続ける為には、このような改変も仕方ないと思わなければならないでしょう。(a.) 

満尾商店(同左)
日南市油津一丁目 昭和4年(1929)
木造/2階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/05.11/民間/商業施設(同左)
 近代的な造りとなっていますが、屋根部分を見ると分かるとおり、古くからある近代和風建築の流れにある建物のようです。ただ、現代の外観が昭和4年のものかどうかについては、議論の余地が残るところです。
 油津周辺の建物群は魅力的なまちなみが多いですが、建物単体の歴史については未解明の部分が多いのでしょうか。今回紹介する建物群は設計者施工者ともに全て不詳となっています。(a.)

杉村金物店本店(同左)
日南市油津一丁目 昭和7年(1932)
木造銅板張/3階建 不詳/不詳
国登録有形文化財/05.11/民間/商業施設(同左)
 銅板張りの要塞、とでも言うべきでしょうか。一見すると鈍色の外観が目に焼付いて、そのインパクトを拭い去ることは至難の業です。周囲にこれだけの建物が他にないため、金物店といわれても今ひとつぴんと来ません。また逆に近接した歩道を通るだけでは建物の良さも何も感じることなく普通の金物店としか認識しないと思います。
 この主屋の奥には煉瓦造の倉庫が二棟続き、油津の日常空間へと誘います。民間の建物ながら、油津を代表する空間となっており、往時の繁栄を今に物語っています。(38.) 

石倉倉庫(同左)
日南市油津三丁目 昭和初期
鉄筋コンクリート造?/平屋建 不詳/不詳
/05.11/民間/倉庫(同左)
 名前こそ石倉とありますが、石造ではないようです(残念ながら詳しく確認していません)。油津の港湾機能を今に伝える倉庫建築で、最盛期には飫肥杉の輸出など、港は大忙しであったことでしょう。建物としての特徴はほぼ窓のない外観(モルタル塗り?)と面取された角部にあるでしょうか。
 いまは穏やかな港湾にあって、このような倉庫が建ち並んだ様を思いうかべると、旅に来た甲斐もあるものです。ちなみに現在でも油津港はカツオ・マグロ漁で全国での有数の水揚げ量を誇っています。


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