四国にはこのような煉瓦造の貯水塔がいくつか現存していますが、個人的にはもっとも気合いの入った作品ではないかと思います。内部への扉を飾る部分や給水塔と接する軒に当たるあたりの布積など、煉瓦にアクセントを付けるが如く石材をふんだんに用いています。大正期の土木デザインは建築と同様に、デザインを意識したものが多く造られてきましたが、これも現在に繋がる品質重視の一顕現ではないかと思います。
所々に遺る煤の跡は、蒸気機関車によるものです。この給水塔の「高さ」が、水圧を持たせるためのものとして以外に、蒸気機関車への水供給のために使用されていたことを今に示す、動かぬ証拠です。こういったところにも歴史の奥深さを感じることが出来ます。(b.51.) |