北九州風景写真館・番外編

北九州市各地の町並み紹介第3回目、、立て続けにやるな、という批判は置いといて(笑)。今回は工業地帯やその周辺にある近代化遺産について取り上げてみたいと思います。

近代化遺産、という用語はなかなか聞き慣れないものですが、おもに産業革命以降に出来た構造物で、人間が営む上で必要な産業上の遺産全体を指す用語です。つい最近までは取り壊しの対象であった古い工場や建築物等の価値を見直し、その技術的価値や美術的な価値を再発見するために新たに付けられたレッテル、というべきでしょうか。
市内各箇所に現存、またはかつて存在した艶のある構造物を紹介していきます、、、、あぁぁ、趣味が入りそうだ、、ついていけないところがあるかもしれませんが、勘弁してやって下さい(礼)。

(注・実験的措置として今回はいつもより写真が大きめで、しかも画像が重いです。ご注意あれ)

日本製粉門司工場です。見た感じでは五階建てですが、実際は恐らく違っているでしょう。一説には明治43年の建造とあります。
装飾らしい装飾は、敢えて言うならば塔屋部分の円窓くらいでしょうか。考えようによれば、現代には見られない事務所風建築物になっているその外観自体が最大の装飾であると言えるかもしれません。

同じく日本製粉の倉庫です。完成当時の装飾が色の違う煉瓦風補填材によって埋められていますが、景観に配慮した補修方法は非常に好感が持てます。

旧日本セメント(現・太平洋セメント)の門司工場跡です。どのような使用方法になっているのか、私には皆目見当がつきませんが、現在の太平洋セメントの工場・事業所一覧に「門司」の名前はありません。ちょうどツタに覆われた部分で、電柱の後ろの建物が昭和3年に造られた事業所です。
国道199号線から見えるその姿は、まさに廃工場そのものです。

同じ門司は門司でもこちらは周防灘側。大字恒見にある(あった)北九州小野田セメント門司工場です。2002年3月時点の写真で、この時点ではまだ操業していたはずです。
この会社、太平洋セメントの子会社だったのですが、写真を撮った同月に会社自体が解散。建物と土地は太平洋セメントの資産となっているようです。時の無情さを感じます。

同じく恒見のセメント工場。ここ辺り一帯が持つ景観は北九州の他の地域には見られない、どこか異国を感じさせる荒涼とした雰囲気を持っています。企救半島はその西側と東側で全く違った感覚を味わえるようです。

うってかわってダイナミックな写真を一枚。住友金属小倉の敷地内にある高炉です。最近新たに高炉を増設したとのこと。どちらが最新のものかは素人目にはさっぱり分かりません。
工業都市生まれの私としては、このような光景に力強さを感じます。雄々しくそびえ立つという印象、ありませんか?

明治製菓戸畑工場(昭和11年)です。この写真はJR戸畑駅のホームから撮ったものですが、一見ビジネス用途のビルとしか思えない外見です。工場自体は来年度の閉鎖が決定されているとのこと。周辺には高速道路の建設予定もあるので、跡地の動向が非常に気になるところです。

三菱マテリアル黒崎工場の設備群です。一見グロテスクな印象もありますが、昔のマンガに描かれたような近未来都市の姿も思い起こすことが出来ます。
曲線と直線が一定の秩序を持って織りなすラインは人工的な美を想起させます。まあ、それを工業施設から見いだす人間は私くらいのものでしょうか。

最後の一枚は三菱化成(現・三菱化学)の煙突を紹介。この煙突を見るたび、黒崎に来たなあと感じさせます。黒崎のランドマークといって差し支えないのではないでしょうか。
三菱化成はこの黒崎が発祥の地で、まさに地元企業として地域にもプリンスホテル事業などを通じて貢献してきましたが、近年は岡山県水島への設備移転によって影響力もそれほどではなくなったようです。
、、、ところで、「豆乳マプロン」ってまだ売っているのですか?


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